日本医科大学 放射線科 | PET・SPECT・核医学 研究
PET・SPECT は、代謝・血流・受容体という“機能”を画像にします。その機能画像を CT や MRI と組み合わせた研究を得意としています。脳神経・循環器・腫瘍——臓器ごとに、臨床・研究・教育へつなげます。院内にサイクロトロンとホットラボを持ち、新規薬剤開発に纏わる多くの研究を行っています。
業績: 核医学研究 論文 19本を見る →Facility / 核医学基盤
3拠点の PET データを統合し、大規模なコホートを対象とした学術研究を行っています。院内にサイクロトロンとホットラボを兼ね備えることから、新薬の開発・治験を数多く実施しています。
分野間の融合研究を強みとしてきました。核医学単体の研究のみならず、核医学と CT、核医学と MRI といった組み合わせ研究を多数報告してきています。これらを、核医学専門医・PET 認定医 11人、第一種放射線取扱主任者(医師)を本院に3人、そして診療放射線技師とともに支えています。
| 拠点 | 設備 |
|---|---|
| 健診医療センター (千駄木・本院) | 半導体 PET/CT 2台 + マンモ PET(PEM)1台 Siemens Biograph Vision 450 / Canon Cartesion Prime サイクロトロン + ホットラボ |
| RI・アイソトープ室 (千駄木・本院) | SPECT 4台 SPECT/CT 2台・SPECT 1台・心臓用半導体 SPECT 1台 |
| 八重洲健診 ステーション | 半導体 PET/CT 2台 2026年6月 開設 |
| 千葉北総病院 | PMT 型 PET/CT 1台 FDG-PET/CT・アミロイド PET(臨床) 放射線センター 公式サイト ↗ |
核医学のいちばんの面白さは、撮りたい画像のための薬を、自分たちの手でつくれることです。院内にサイクロトロンとホットラボがあるので、FDG はもちろん、半減期がたった10分で他施設には運べない 13N-アンモニア(心筋血流)も、ここでなら撮れます。研究用のタウ PET や DAT-PET は精神科の先生と一緒に院内で合成し、前立腺がんの PSMA セラノスティクスでは診断に使う 68Ga-PSMA を自前で用意しています。いま臨床で使われている抗アミロイド薬の治験に、開発の段階から画像評価の立場で参加してきました。買ってくるのが当たり前の薬を自分たちで用意できるのは、核医学が好きな人にはたまらない環境だと思います。







New Facility / 2026年6月 開設
東京駅ヤエチカ18番出口から徒歩1分(八重洲北口から徒歩3分・地下直結)の TOFROM YAESU TOWER に、半導体 PET/CT 2台を備えた新しい健診拠点。脳ドック・アルツハイマー病チェックの入口として、健常・検診コホートを支えます。
公式サイト yaesu.nms.ac.jp ↗
For Graduate Students / 大学院で、あなたがやること
「光っている/いない」の主観を、正確な数値に。吸収補正・被ばく低減・臨床比較、そして薬を作る基盤まで——核医学の“定量”を突き詰めます。
Organ-based / 臓器別に診る
認知症の抗アミロイド抗体薬の適応判断、心臓の虚血評価、がんの病期診断——核医学は、日常診療の判断に直結しています。臨床科から来るのは「PET の相談」ではなく「この患者さんの相談」。核医学を中心に、SPECT・PET・MRI・CT を臓器ごとに束ね、その日常診療から研究の問いが生まれます。
認知症・パーキンソン病
脳神経内科・精神科と
統計解析(eZIS)でアルツハイマー病の鑑別・進行予測。CT 減弱補正の研究も。
アミロイド PET、タウ PET(18F-PM-PBB3)、DAT-PET(18F-FE-PE2I)。院内で合成し、精神科との共同研究で使っています。
灰白質体積・皮質厚の定量。同じ人でアミロイドと脳の形を結びます。
投与前の適応判断(アミロイド PET+MRI+脳血流 SPECT)と、投与後の ARIA 監視。アミロイド PET は年間 150 件以上。認知症先端治療センターとは月1回の多職種合同カンファレンス(ACC)で、読影結果の報告・疑義照会・ARIA 読影を行います。
心筋血流・虚血・炎症
循環器内科と
虚血の重症度評価、心筋血流量の定量解析。心サルコイドーシスの病勢評価。
心筋血流を定量する PET。半減期10分——院内サイクロトロンがあって初めて成立します。
診断から、治療まで
各診療科と
病期診断・治療効果判定・再発。前立腺癌の PSMA-PET も導入しています。
PET/MR が PET/CT を上回る領域を、臨床研究で示してきました。
多職種のがん症例検討会で、病期診断・治療効果判定を放射線科が担います。がん診療の意思決定に、画像から加わります。
専用病室を備え、診断と治療を、同じ標的で。前立腺癌は 68Ga-PSMA-PET で評価し プルビクト(177Lu-PSMA-617) で治療、NET は 111In-ペンテトレオチド(ソマトスタチン受容体シンチ)で評価し ルタテラ(177Lu-DOTATATE) で治療。診断から治療まで、同じ標的で一貫して関わります。
Featured / 代表研究 — DAT の定量
パーキンソン病の DAT-SPECT を、MRI のマルチアトラスで線条体(尾状核・被殻)に分けて定量し、DAT-PET を基準に検証した研究です。核医学の問いを、MRI を合わせて解く——この教室の型そのものを、一本の論文で示しました(曽原 筆頭)。


Clinical Applications / 論文になった仕事
吸収補正・認知症・パーキンソン病・頭頸部がん・被ばく低減——カードから対応論文へ。
MRIから頭蓋骨の減弱を推定し、PET値を正しく補正(ZTE / Atlas)。
論文 ↗MRIのマルチアトラスで線条体を分割し、DAT-SPECT を定量。DAT-PET とよく相関。
論文 ↗MRベース吸収補正でも、アルツハイマー病診断の精度を CT 補正と同等に。
論文 ↗SiPM 検出器で高感度化し、FDG 線量を最大 40% 低減しても診断画質を維持。
論文 ↗PET+MR は PET/CT と同等以上の病期診断精度(トライモダリティ)。
論文 ↗原発巣の検索で PET/MR が PET/CT を上回る。
論文 ↗低酸素トレーサー[18F]FAZA の PET/MR で、血行再建の前後の組織灌流を評価。
論文 ↗TOF-PET/MR と PET/CT で SUV・体積指標がどれだけ一致するかを検証。
論文 ↗Legacy / 定量の土壌
標準ソフトの開発に携わった医師から、方法論と解析の実際を学べます。日本の認知症画像診断を支えてきた解析の系譜が、この教室に息づいています。
| ソフト | この教室との縁 | 典拠 |
|---|---|---|
| eZIS | 脳血流 SPECT の統計解析 松田・水村先生 考案(当科 在籍時) | Mizumura S. Radiat Med. 2006 |
| SEE / SEE-JET | 領域別の定量・脳虚血 水村先生・当科 在籍時 | Mizumura S. Ann Nucl Med. 2003; 2004 |
| VSRAD | MRI・VBM で早期 AD 松田先生 総監修/水村先生 副総監修(適正使用 GL) | Matsuda H, Mizumura S, et al. AJNR. 2012 |
eZIS は、松田博史先生と 水村直先生(当科 OB)が考案した、脳血流 SPECT の統計解析です。日本の認知症診療で広く使われる VSRAD は、松田先生の総監修で開発されました。水村先生は、改良版(SPM8+DARTEL)の早期アルツハイマー病検出を確立し(AJNR 2012・第2著者)、エーザイの適正使用ガイドラインでは副総監修を務めています。その松田先生が、現在この健診医療センターに在籍しています。
解析パイプラインも、正常データベースも、二重独立読影の作法も——画像を数字で診る文化が、この教室に受け継がれています。脳 MRI・脳血流 SPECT を統合して読む、読影歴 10〜30 年の放射線科医チームが、精神科・認知症先端治療センターと協働しています。
画像を、数字で診る。その土壌が、ここにあります。
In Progress / 進行中の研究テーマ
下のテーマは、まだ論文になっていません。大学院で入るなら、ここです。
装置もメーカーも違うアミロイド PET の値を、Centiloid という共通スケールで比較できるように。異機種が揃う環境が、そのまま研究資源になります。
注射から撮影までの待ち時間を短くしても、同じ判定・同じ定量値が得られるか。患者さんの拘束時間に直結するテーマです。
脳の萎縮と認知機能の関係が、アミロイド PET の陽性・陰性で変わるのか。PET と MRI を同じ人で撮れる強みを使います。
アミロイド PET を動態で。注射直後の早期相は脳血流の分布と似ます。1回の検査でアミロイドと血流の両方を視られる可能性を追います。
抗アミロイド抗体薬の副作用 ARIA(アミロイド関連画像異常)の画像研究。早期検出と治療中の安全性評価を、画像診断の立場から支えます。
Representative Data — 60分 vs 90分
メーカーの違う 2台の半導体 PET/CT で、同一被験者を 60分像・90分像で撮影した代表例です(Aβ 陰性/陽性)。撮影のタイミングを変えても、同じ判定になるか——それを確かめています。


Awards & Books / 受賞・著書
PET/MR・核医学の研究成果は学会賞に評価され、英文教科書(Springer)の執筆にもつながっています。
脳神経・循環器・腫瘍。核医学を軸に、装置をまたいで一つの臓器を追い続ける——その続きを、あなたが書きます。まだ誰も手をつけていないテーマが、残っています。
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